大蒜 – にんにく – garlic

にんにくの旬と産地

収穫期は3~8月なので、新にんにくとして出まわる生にんにくの旬は春から夏にかけてですが、大半は乾燥貯蔵されて1年中出回ります。

乾燥保存されても風味や薬効は失われませんが、新にんにくは香りが強く実もやわらかです。反面、乾燥ものに比べると貯蔵性は劣ります。

主産地は青森県で、全国の生産量の半分を占めています。最近では中国や台湾からの輸入ものも増えてきています。

葉にんにくやにんにくの茎は、秋から春にかけてが旬です。これも最近は輸入が増えて、周年出荷されています。にんにくの茎は冷凍保存できるため、冷凍品も出まわります。

にんにくの種類

概要

にんにくは花の間にできた珠芽(むかご)や鱗片によってふえるので、品種はそんなに多くはありません。

日本では白くて大粒のホワイト種が好まれ、現在の主流は「ホワイト六片種」という鱗片が大きい種類です。最近は六片種の「ジャンボ無臭にんにく」も登場しています。

関東以西の温暖な地で作られる種類では、「壱州早生(いしゅうわせ)」「上海早生(しゃんはいわせ)」「遠州極早生(えんしゅうごくわせ)」などがあります。

中国産の品種はいくつかありますが、ほとんどが10~14の鱗片から成っている種類で、にんにくの産地と知られている山東省では5月~6月に収穫されています。

ホワイト六片種 別名:福地ホワイト六片種

三戸郡福地村の在来の品種と、輸出用に業者が導入した白色の品種から生まれた、国内で最も多く栽培されている品種です。

葉が10枚つくぐらいの時期に球のできる晩生品種で、花茎は出ないか出ても短く、頂部に数個の珠芽がつきます。

外皮も鱗片の皮も白く、50gほどの大球で、鱗片の数は5~6と少なく利用しやすいので人気があります。

壱州早生(いしゅうわせ)

暖地系品種の代表で、低温処理した鱗片を早植えすると1~3月に収穫できるので、九州や沖縄などで栽培されています。暖地品種の中では比較的耐寒性もあります。

外皮は白色に近い淡褐色で、球は50gほどになります。草勢が強く、草丈は1mほどにもなります。

茎にんにく 別名:にんにくの芽、蒜苔(中国読みでスワンタイ)

にんにくは冬から春にかけて花芽と球の元が同時に成長していきますが、花茎は若いうちに切り取ると球の発育が進むので、花茎の切除は重要な作業となっています。中国では古くからこの花茎を食用としてきましたが、第二次世界大戦後、「にんにくの芽」の名で日本にも輸出されています。

直径5~6mmの棒状で、通常切りそろえて10本ほどを束ねた状態で売られています。においが少なく、ほのかな甘みと歯ごたえのよさが受けています。

近年中国からの冷凍ものも増えています。

葉にんにく 別名:青蒜(あおびる)、蒜苗(中国読みでスワンミャオ)

にんにくの根が育たないうちに収穫したもので、姿や長さはわけぎに似ていますが、にんにく臭があるので区別できます。にらやねぎと同様に煮物や炒めものに利用します。

中国では正月に健康を祝って葉ニンニクを食べる風習があり麻婆豆腐(マーボードウフ)などには欠かすことのできない食材となっているなど、古くから野菜として食用にしてきましたが、日本にも第二次世界大戦後に中国野菜の一つとして入ってきました。近年は高知県などでも少しですが生産するようになっています。

最近ではスワンホワンと呼ばれる軟白した葉も出てきて、柔らかく臭いも少ないため今後の普及が期待されています。

にんにくの選び方

にんにくを選ぶポイント

外皮がよく乾燥し、固く締まって重たいものを選びます。

鱗片(りんぺん)それぞれの粒が大きくて茎にしっかりと付着しているものが良品です。

外皮と中身との間に隙間があるものや、芽のでかかったものは古いものなので避けます。

色の差は品種の違いもあり一概には言えませんが、日本産のものはほとんどがホワイト種であり、この種を選ぶならきれいな白色をしているつやのあるものがよいでしょう。

葉にんにくを選ぶポイント

葉が水みずしく青緑色で、柔らかいものを選びましょう。

茎にんにくを選ぶポイント

濃い緑色でつやのあるものが良質です。

茎の先端が細くなっているものや黒ずんでいるものは鮮度が落ちています。

白い部分が多いものは固いので避けます。

にんにくの調理法

薄皮を簡単にむく

なかなかむけないにんにくの皮。にんにく料理は好きなのに、あの皮をむくのが嫌いで二の足をふんでしまう、という人はいませんか?そんな方にいい方法をお教えします。

(方法1)にんにくをひとかけずつにわけた後、ぬるま湯にしばらくつけます。すると拍子抜けするほど簡単に薄皮がむけるようになります。むいたにんにくは水分を含みますので、すぐに使うようにしましょう。

(方法2)にんにくのおしりの部分を少しだけ包丁で切り落とした後、丸ごと電子レンジで加熱します。時間は600wでひとかけにつき5秒位。見てて湯気がでてきたらすぐに取り出してください。飛び出しているお尻をひっぱってやると簡単に取り出せます。

油が冷たいうちから鍋に入れる

にんにくを使うとき、油を充分に熱してから鍋に入れる人がいますが、これは間違い。油が熱いとすぐにこげてしまい、せっかくの香りを出す暇がないからです。存分に香りを引き出すには、油が冷たいうちから鍋に入れ、弱火でじわじわと熱してやること。こうしてやると香りが充分に油にしみ渡ります。

臭いを抑えるためには

にんにくは空気に触れると臭いが強くなる性質があります。これは、にんにくに含まれるアリインというたんぱく質が、アリナーゼという酵素のはたらきによりアリシンに変わるために起こるのが原因です。臭いを抑えるためには、数分間ボイルしたり焼いたりするなど、熱を加えてやればOK。アリナーゼは熱に弱く、熱することで破壊されるからです。

電子レンジを使用するとより簡単です。
1.にんにくを一粒ずつほぐします。薄皮は残しておくこと。
2.そのままラップに包んで、電子レンジで2~3分加熱します。気になる臭いがほとんど消えた、ほくほくにんにくのできあがり。栄養成分も失わずに臭わない、一挙両得のこの方法をぜひお試しください。

包丁やまな板へのにんにく臭はラップでシャットアウト

小さなにんにくをみじん切りにするのはなかなか手間で、臭いが包丁やまな板に移るのを嫌がる人も多いようです。そんなときはにんにくをラップで包んで、その上から包丁の背や柄でつぶしてやればOK。中身が飛びださないように、しっかりと端を閉じておいてください。

氷つかみで上手にすりおろそう

にんにくをおろし金ですりおろすと、臭いが指先にいつまでも残ってしまいますね。指をすりむいたり爪を削ったりすることも。これを避けるために、氷つかみでにんにくをはさみながらすりおろしましょう。小さくなってもはさむ場所を変えていけば、最後まできれいにすりおろせます。

にんにくの簡単レシピ

ガーリッックトースト

(1)フランスパンを1cm厚さに斜め切りします。
(2)バター適量を容器に入れ、湯せんにして溶かします。
(3)にんにく1片をすりおろし、(2)によく混ぜ合わします。
(4)(1)のパンに(3)を薄く塗りのばし、パセリをみじん切りしたものを散らしてオーブントースターでカリッと焼きます。

ガーリックライス

(1)にんにく2~3片をみじん切りにします。
(2)フライパンにサラダ油とバターをいれて火にかけます。
(3)バターが溶けたら、にんにくをいれて弱火で、カリッとするまでじっくり炒めます。
(4)固めに炊いたごはんを入れて炒め、醤油とこしょうで味つけします。
(5)火を止めてパセリを散らます。

にんにくの丸揚げ

(1)にんにく1球は皮付きのまま上部を切り落とし、160℃くらいの油で、濃いきつね色になるまでじっくり揚げます。
(2)好みで塩やタルタルソースでいただきます。

にんにくの鶏そぼろ味噌味ホイル焼き

(1)にんにく1球分の薄皮を取ります。
(2)小鍋に鶏ひき肉30gを入れてほぐすように炒め、赤味噌大さじ1.5、みりん大さじ3、酒大さじ2を入れてよく練り合わします。
(3)アルミホイルに薄くサラダ油を引き、(1)を入れて(2)をのせ包みます。
(4)(3)をフライパンでふたをして蒸し焼きにします。

豆腐のガーリックステーキ

(1)木綿豆腐1丁をふきんで包み、重石をして水きりをします。
(2)にんにく2片をスライスして少量の油でカリカリに炒めます。
(3)フライパンにサラダ油大さじ1を入れて熱し、(1)を入れて両面をきつね色になるまで焼き、しょう油、酒、しょうが汁少量を合せてかけ、全体にからめて火を止めます。
(4)器に(3)を盛り、(2)をのせて、フライパンの残り汁をかけます。

豚しゃぶにんにくソース

(1)しゃぶしゃぶ用の豚肉400gをさっとゆで、冷水につけて引き上げて水気を取ります。
(2)にんにく6片をみじん切りにして、お酢小さじ1、しょう油大さじ2.5、みりん大さじ1.5、酒大さじ1、しょうが汁小さじ0.5をよく混ぜ合わせます。
(3)(1)を器に盛り、(2)を上からかけます。

かつおたたきの変わりサラダ

(1)にんにくをスライスし、フライパンにサラダ油をいれて弱火で熱し、にんにくがキツネ色になったら取り出します。
(2)(1)の油で豆苗を炒めます。
(3)皿に豆苗を敷き、その上にかつおのたたきを盛り、(1)のにんにくチップ、半熟玉子を崩したもの、しその実昆布をのせて、しょう油ドレッシングをかけます。

にんにくトマトスープ

(1)玉ねぎ0.5個、にんにく2片をみじん切りにします。
(2)トマト1個の皮を湯むきして、ざく切りにします。
(3)(1)をオリーブ油で焦がさないようにゆっくり炒めます。
(4)(3)にコンソメスープを注ぎ、(2)のトマトを入れます。
(5)煮立ったら火を弱め、塩、こしょうで味付けします。好みでパセリやパルメザンチーズを散らします。

にんにくの保存

基本は風通しの良い冷暗所

乾燥品を丸のまま保存するなら、乾燥した涼しい場所で保存するのが基本です。湿気の多い場所に置いておくと簡単に腐ってしまうので注意しましょう。網袋に入れて涼しくて風通しのよいところにつるしておくか、通気性のよいかごに入れておくと良いでしょう。最近ではインテリアとしても楽しめる「ガーリックセラー」も売られています。これらの方法では約1ヶ月間保存できます。

長期の保存には

長期保存するには、湿気がついてカビが発生しないように新聞紙等で包んで冷蔵庫で保存してください。状態がよければ3~5ヶ月の保存が可能です。にんにくは呼吸していますのでビニール袋などで密封しないように注意してください。

冷凍保存も可能

薄皮をむいてラップして冷凍できます。自然解凍すると生と同じように使えます。また、凍ったまま包丁でつぶすかすりおろしても良いでしょう。保存期間は約1ヶ月くらいです。

刻んだものやおろしたものも冷凍できますが、臭いが冷蔵庫内にもれやすいのでおすすめしません。

長期の保存のもっと良い方法

にんにく保存のもっと良い方法をお教えしましょう。それは、しょうゆや味噌、酢などの調味料に漬け込む方法です。にんにくの味が調味料と調和し、栄養分の損失もあまり無く、おいしく保存できます。

★しょうゆ漬け
 薄皮をむいて広口びんに入れ、濃い口しょう油をそそぐだけ。
 そのまま食べたり、刻んで炒め物に入れます。
 残ったしょうゆは、漬けじょうゆや焼肉のたれに。

★味噌漬け
 薄皮をむいて味噌床に埋めるだけ。
 丸ごと食べるか、なめみそ、焼きみそにします。酒の肴に最高!

★酢漬け
 薄皮をむいて広口びんに入れ、お酢をそそぐだけ!
 刻んでかつおのたたきやサラダなどに。漬け酢はドレッシングに。

そのほか、はちみつ漬けやお酒に漬けてにんにく酒なども。いろいろ工夫してみてください。

茎にんにくの保存

切り口から乾燥するので、ラップでぴったりと包むかポリ袋に入れて野菜室に立てて保存します。3~4日内に使いきりましょう。

にんにくの栄養・効能

にんにくの成分

主な成分はビタミンB1、B2、B6、C、リン、カリウム、鉄、亜鉛、銅、マグネシウム、たんぱく質、糖質などですが、これらの栄養成分は他の野菜と比べて特にきわ立ったものというわけではありません。

にんにくの特徴は、微量成分として含まれる生理活性物質にあります。特にアリインが分解されてできるアリシンと、スコルジニンという二つの成分が、他の食品に無いにんにく特有の効果を生み出します。

臭いの正体アリシン

にんにくの強烈な臭いの正体は、硫化アリル化合物のアリシンという成分です。

アリシンは、アリインがアリナーゼという酵素の作用で分解されることにより生成されます。アリイン自体は無臭なので調理前のにんにくは臭いませんが、刻んだりおろしたりすると細胞が壊れてアリインとアリナーゼか混ざり、アリシンが生成されて臭い始めます。

アリシンはビタミンB1と結合するとアリチアミンという物質になり、B1と同じ作用を持ちながらB1の分解酵素に強い性質を持ち、長時間分解されずに長く体内に留まってビタミンB1と同じ働きを示します。

ビタミンB1の疲労回復効果

ビタミンB1は、白米を主食とする日本人には不足しやすいビタミンです。不足すると疲れやすくなり、動悸、息切れがしたり、イライラしたりします。

体内で炭水化物が分解されてエネルギーに変わるとき酵素がはたらきます。酵素には補酵素が必要で、ビタミンB1はこの補酵素としてはたらき、糖質をエネルギーに変える助けとなります。B1が不足すると糖質が分解できず、乳酸などの疲労物質がたまっていき疲れやすくなります。B1はこれらの老廃物質の代謝にも関わっています。

ビタミンB1は水溶性で体外に排出されやすいのですが、アリシンがB1と結合したアリチアミンは脂溶性で、体内に蓄積されやすい性質になります。このため、にんにくには疲労回復効果を持続させるはたらきがあるのです。

ビタミンB1は、豚肉やレバー、鶏肉、卵、玄米などに多く含まれています。これらの食品とにんにくを一緒に食べると、疲労回復に大変効果があるでしょう。

強力な殺菌作用

アリシンにはすぐれた殺菌作用がみとめられています。12万倍に薄めた液でもコレラ菌やチフス菌、赤痢菌などに対する高い抗菌力を示すという実験結果が報告されています。結核やかぜのウイルスにも効果があり、これらのウイルスを弱めて、症状改善に効果があります。最近ではピロリ菌の抑制にも効果があるものとみられています。

外用としても有効で、水虫やたむしにはにんにくのおろし汁を塗ると効果があります。

にんにくに殺菌効果を期待するなら生食してください。アリシンの殺菌力は、生で食べた場合のみ有効です。加熱調理によってアリシンが壊され、臭いが消えるとともに、にんにくの抗菌作用もなくなります。

もう一つの有効成分スコルジニン

スコルジニンは、新陳代謝を活発にし、体内の栄養素を燃焼させてエネルギーに変える働きがあります。また、疲労をやわらげるビタミンB1の働きを助けたり、カリウムと共に血圧を下げる作用もあるので、高血圧症改善や肥満予防に役立ちます。精子の増殖を促す作用もみとめられており、にんにくが強壮食品といわれるゆえんはここにあります。

食欲増進・消化を助ける

強烈な臭いの成分が、唾液や消化液の分泌を促進し、胃腸の働きを活発にして、食欲を増進させる効用があります。

冷え症対策

アリシンやスコルジニンの新陳代謝を促進する作用のために血流が良くなり、冷え性、神経痛、肩こり、腰痛などに効果があります。

血液循環の促進には、抗酸化作用を持つビタミンEとの併用がおすすめです。ビタミンEを多く含む食品は、カボチャ、クルミ、アボガド、落花生、胚芽などです。

ストレス・不眠に

にんにくには神経細胞に直接はたらきかけて興奮をしずめてくれるはたらきがあり、良質のタンパク質やカルシウム、そしてカルシウムの吸収を助けてくれるビタミンCとともに摂取すると、その効果は一層期待できます。

知られざるセレンのパワー

にんにくは、注目の物質セレンを内部に貯めこむ性質があります。セレンには、発ガン性を有する過酸化脂質の害を抑えてガンを抑制する作用があり、このためにんにくの抗がんパワーは野菜のなかで最強といわれています。そのほか、セレンには水銀、鉛などの有害金属を体外に除去するはたらきなどもあります。

加熱して失われる効用・失われない効用

にんにくの臭いを消すためには、加熱処理してアリシンの生成を防ぐのが有効ですが、過熱処理で失われるはたらきもあるので注意してください。

★生で食べた場合にのみ期待できる効用
・殺菌効果
・免疫機能の向上
・ガン予防

★加熱しても失われない効用
・コレステロール値を下げる、高血圧症改善
・血行をよくする

食べ過ぎに注意!

にんにくに高い薬効があるといっても食べすぎはよくありません。胃腸の粘膜をあらしたり、アリシンの強い殺菌効果が逆効果になって腸内の大腸菌などの有益な菌を殺してしまうからです。貧血になったり肌あれを起こしたりすることもあります。特に空腹時の生食は刺激が強いので避けましょう。1日生なら1片、加熱したものでも2~3片を限度として、上手に食卓に盛りこむとよいでしょう。

にんにくの歴史

原産地は中央アジアのキルギス地方とも南ヨーロッパともいわれますが定かにはなっていません。

栽培の歴史はかなり古く、紀元前3000年頃の古代エジプト王朝時代には、すでに玉ねぎとともに栽培されていたことが記録されています。紀元前1300年頃のピラミツド建設に従事する奴隷たちに、にんにくや玉ねぎが与えられていたとの記録もあります。

その後にんにくは、ギリシア、ロ-マ、さらにはヨ-ロッパ全土へと広がっていきました。ローマでは労働者や兵士のほか、闘技場で死闘を繰り広げた剣闘士達にもその力の源としてにんにくが与えられていました。

東方へは、エジプトからアラブ、インドへと伝わってゆきました。中国へは、漢の武帝の頃に外交使節として西域に派遣された張騫(ちょうけん)がもたらしたと言われ、「胡蒜(こさん)」と呼ばれました。

日本へは、奈良時代に中国から朝鮮半島をへて伝えられたと言われています。「古事記」や「日本書紀」にもその記述があり、「日本書紀」では日本武尊の条に「一箇蒜」という名で登場しています。平安時代になると、禁中の制度などを記した「延喜式」にはその栽培法が、植物事典とも言うべき「本草和名」には「大蒜(於保比留:オホヒル)」という名での記載があります。

その後、にんにくの薬効や効能がいろいろ研究され、徳川家康が好物として食べていたなどという話が伝わっていますが、一般の食材としてはあまりなじまず、主に薬用植物として広まりました。香辛料として普通に使われるようになるのは第二次世界大戦後のことです。

にんにくの豆知識

にんにくの語源

古くは「大蒜(おおびる)」と呼んでいたようですが、室町時代に「にんにく(葫あるいは葱蓐と表記)」と呼ばれるようになりました。

「にんにく」の語源は仏教語の「忍辱(にんにく、にんじゅく)」に由来します。つまり耐え忍ぶ、健康維持・療養等のために臭気を堪え忍んで食べる、という意味から呼ばれるようになったという説や、「にほいあしくてにくむべし」すなわちにおいを憎む→ににく、がにんにくになったという説などがあります。

にんにくの臭いを消す方法

にんにくの臭いを抑えるためによいとされている食品を上げてみましょう。

★青汁…青汁の植物繊維の中に含まれるモクセイ油という油質が、にんにくの臭いの元を中和分解します。

★チーズ、牛乳…牛乳などのタンパク質が、胃の中でにんにくの硫黄化合物と吸着して臭いを抑え込みます。

★コーヒー…フルフリール基タンニンなどの成分に消臭効果があります。飲むより豆をそのままかじったほうが効果があります。

★パセリ、クレソン、青じそ、青ネギなど…これらの野菜はテレピン酸を多く含み、臭いを抑える効果があります。

★その他
梅干し、緑茶、(黒)砂糖などにも消臭効果があるとされています。

にんにくの臭いを消すポイントは、にんにくの食後、胃の中を空っぽにしないこと、口や喉を乾かさないことなどです。にんにくが消化され臭いを発しはじめる1時間後には、これらの食品を胃に収めておくと良いでしょう。

にんにくで酔う?

にんにくを入れて密封した容器に蜂を放すと1~2分で動けなくなり、足がふらついたり、よろけたり、前につのめったりして、蜜を吐いたりする仕草をし、最後には死んでしまうそうです。ねずみの場合にも、時間はかかるものの同様な致死作用があるそうです。これは臭いの成分アリシンなどによる強力な作用によるものです。

にんにくの裏ワザ

★農薬のかわりに…家庭菜園などでの病虫害予防としてにんにくエキススプレーが効果的です。にんにく1玉をすり下ろして1リットルの水に混ぜたものをさらに5倍に薄めて使います。

★米びつの虫よけに…米びつの中に皮をむいて乾燥させたにんにくを数個入れておくと虫が寄り付きません。