梅 – うめ – Japanese apricot

梅(うめ)の特徴

梅は大きく食用となる実梅(みうめ)と観賞用の花梅(はなうめ)とに分けられます。
早春に白や紅色の花を咲かせ、まず視覚で私たちを楽しませてくれます。
果実は、熟すと黄緑色、完熟すると赤みを帯びた黄色になります。小指の先ほどのものから数センチのものまであり、品種によりさまざまです。

梅の実を生で食べることは無く、梅干しや梅酒などに加工することがほとんどです。
「梅は三毒を断つ」といわれるなど、昔からその効能がよく知られています。酸っぱさのもとであるクエン酸などが私たちの体内で果たす役割も近年明らかになりました。

梅の栽培は極東だけに限られていて、欧米では「日本のアンズ」とよばれ、世界に知られる特産品になっています。

国産の梅は高いので、最近は台湾産の輸入ものを扱った加工品も増えています。

梅(うめ)の旬

旬は5月下旬から7月上旬頃まででピークは6月です。この時期以外には出まわりません。
まず5月下旬頃から小粒種の少し色づいた小梅などが、6月中旬にはかたい青梅、少し遅れて黄色の南高梅などが出回ります。

梅(うめ)の種類

梅は古い樹木であるために地方品種が多く、あんずに近い種なのであんずとの雑種も多く見られます。

食用の実梅(みうめ)と観賞用の花梅(はなうめ)を合わせると品種は大変多く、現在確認されている品種は約350種類ぐらいです。

品種が著しく増えたのは江戸時代からで、現在の園芸分類は、1901年(明治34)に小川安村が「梅譜(ばいふ)」で343品種を分類したのがもとになっています。

大粒品種では「白加賀(しろかが)」、「藤五郎(とうごろう)」、「南高(なんこう)」、「鶯宿(おうしゅく)」、「豊後(ぶんご)」など、中粒品種では「長束(なつか)」、「薬師(やくし)」など、小粒品種では「甲州最小(こうしゅうさいしょう)」などが良く知られています。

青梅というのは品種名ではなくて熟す前の青い実のことを言います。主に梅酒作りに適しています。生の核には青酸をつくる酵素が含まれています。

梅(うめ)の品種

白加賀(しろかが)

江戸時代から加賀白梅の名で栽培されていて、現在では梅の中で生産量が最も多い大型品種です。全国で見られますが特に関東地方に多く栽培されています。白色の花を咲かせ、果実は丸くて30~40g、果皮は淡黄緑色で、陽に当たる面は熟すとともに紅色になります。果肉は繊維が少なく肉厚で、梅酒、梅干しに適しています。6月中旬~下旬に収穫されます。

藤五郎(とうごろう)

新潟県で多く栽培されています。淡い紅色の花を咲かせます。果実は丸くて25gぐらいで、緑色の地に陽の当たる側が暗紅色になります。果肉には繊維が少なく品質は優れていて、梅酒や梅干しに適します。6月中旬~下旬に収穫されます。

南高(なんこう)

和歌山県南部川村が原産の大粒種です。花色は白色、果実は25~30g程度で、陽光にあたる面が紅色に色づきます。皮が薄く肉厚で種も小さいため梅干に最適で、紀州の梅干しとして人気があります。6月中旬~下旬に収穫されます。昭和26年に南部高校(地元では「なんこう」と呼ばれている)教諭の竹中勝太郎氏が、自校の名をとって命名したそうです。

鶯宿(おうしゅく)

徳島県で古くから栽培されている品種です。淡桃色の花が美しく、観賞用としても人気があります。果実は25~30g、梅酒や梅漬に向いています。

豊後(ぶんご)

梅とあんずが交雑したもので中国から伝わった品種と考えられています。花は一重と八重のものがあり、淡紅色が美しいので庭木としても人気があります。果実は球形で50~80gと大粒ですが、果肉は繊維が多くて粗いです。

長束(なつか)

愛知が原産です。白色の大きな花を早くから咲かせます。実は丸くて20~25g、熟すと淡黄色になり陽に当たる面が淡褐色になります。果肉は緻密で品質は良く、梅酒や梅干しに適します。6月中旬頃収穫されます。

小向(こむかい)

明治初期から関東地方で多く栽培されました。果実はやや楕円形で25g前後、果頂部がややとがった形をしています。果皮は淡緑色で陽に当たる面が淡褐色になります。6月中旬~下旬に収穫されます。

甲州最小(こうしゅうさいしょう)
(別名)小梅(こうめ)

山梨県で多く栽培されている代表的な小粒品種の一つです。花色は白色、果実は3~5gほどでほどで熟すにつれて果面は赤みをさしてきます。出始めは梅の中で最も早く、5月下旬~6月上旬に収穫されて出まわります。
熟した色がさらに鮮やかな「甲州深紅」や「長野の竜峡小梅(りゅうきょうこうめ)」、また宮城、埼玉、千葉などの小梅も良く知られており、いずれも小梅漬けなどに用いられます。

梅(うめ)の加工品

梅干し(うめぼし)

梅のしそ漬けです。そのまま食べたりおにぎりに入れるほか、裏ごしした梅肉はさまざまな料理に応用できます。

梅酒(うめしゅ)

青梅を焼酎と氷砂糖に漬け込んだものです。3ヶ月目から飲めますが、半年から1年たったもののほうが味は良いとされています。氷砂糖はあまり少なすぎると梅酒の熟成が遅くなります。暑気払いによいとされています。

梅酢(うめず)

梅の実を塩漬けにしたとき、梅から出た酸味の強い汁のことです。何年でも保存できて広く利用できます。梅干しの赤じそを加える前の澄んだ汁は梅白酢といい、夏負け、寝冷えによる下痢止めの妙薬となります。色止めのはたらきもするので、花や野菜の漬物にも利用します。赤じそを加えたあとに出た梅赤酢は、大根、かぶ、みょうがなどを赤く漬けるのに使います。

梅(うめ)の選び方

表面に傷がなく、形が丸く整っていて、粒がそろっているものを選んでください。
皮に傷みや虫食い、黒い斑点などがあると、加工時の苦みやにごりの原因になるので避けましょう。

用途の違いにより、粒の大きさや熟度を使い分けるのが一般的です。

  • 梅酒や梅ジュースには、鮮やかに青くて実が少しかたいくらいのジューシーなものが適しています。
  • 梅干し用には、果肉が厚く、少し熟して黄色がかって、すっぱくて良いにおいのただようものが適しています。熟しかかったものはあまり日保ちしないので、買ったらすぐに使用してください。すっかり黄色くなり熟しすぎたものは、果肉がやぶけやすいので避けたほうがいいでしょう。

梅は年によって収穫量の差が大きく、暖冬で開花の早い年は不作の可能性が大です。値も高くなるため、梅干しやジュース用には比較的安価な小粒種がお買い得です。小粒のものは果肉は少ないですが味は大粒種と大差ありません。

梅(うめ)の調理法

梅は一般に生食しないので、梅干し、梅酒、梅漬け、梅ジュースなど、また砂糖を加えてジャムや煮梅などにします。

梅漬けでできた梅酢の用途は広く、酢と同様の使い方ができます。

梅干しはピューレなどにしてドレッシングに入れたり、和え衣やソースなど、風味を生かした幅広い料理に使用できます。

青魚と一緒に煮ると、魚の生臭みを抑えることができます。

梅干しの酸味が苦手な人は、少々のみりんでのばすと気になりません。

梅や梅干しを調理する際にはガラスやほうろうなどの酸に強い材質を使ってください。アルミ製のものを使うとあとでさびることがあります。

梅酒を作ってみよう!

【材料】

青梅

  • 青くて表面に傷がないものを選びます。傷があると梅酒がにごってしまいます。

氷砂糖

  • 梅1kgに対して500g~1kgぐらいが目安です。砂糖の量が少ないと梅酒がうまく熟成されません。

ホワイトリカー

  • 1.8リットル。焼酎やウイスキー、ブランデーなどでも代用できます。
【容器】
  • 金属製のものは強力な酸により錆びるので、ガラスやほうろうなどの容器を使用します。
  • 使用する前に熱湯消毒して、水分をきれいにふき取っておきます。
【手順】
  1. 青梅をていねいに洗います。水気をきって清潔なふきんなどで水気をふき取ります。水気が残っていると、カビる原因になります。
  2. へたを竹串などでていねいに取り除きます。
  3. 梅の表面を竹串で数ヶ所刺しておきます。梅から養分が出やすくするためです。
  4. 容器に梅と砂糖を交互に入れていきます。
  5. ホワイトリカーを注いで密閉します。冷暗所で保管します。ときどき容器をゆすって氷砂糖を溶かしてください。
  • 3ヵ月後から飲めますが、1年以上置いたほうがこくがでておいしくなります。実は入れたままでも良いですが、雑味が出ることがあるので、3~6ヵ月ぐらいで取り除いた方が良いでしょう。取り除いた実は、つぶして砂糖と煮つめてジャムにするとおいしいです。

梅干し作りにもチャレンジ!!

【材料】

  • 6月中旬から下旬にかけて出回るやや熟したものを使用します。熟しすぎたものは皮が破れやすいので避けた方が良いでしょう。

  • 精製塩よりもミネラル分の多い粗塩の方がまろやかな味に仕上がります。梅1kgに対して塩180~200gを目安にします。塩分が少ないとかびやすくなり、また梅酢の出る量が少なくなって非常に酸っぱい梅干しになってしまいます。

赤じそ

  • 梅1kgに対して赤じそ100gが目安です。
【容器】
  • 金属製のものは強力な酸により錆びるので、ガラスやほうろうなどの容器を使用します。
  • 使用する前に熱湯消毒して、水分をきれいにふき取っておきます。内側を焼酎で消毒しておくとよりいいでしょう。
【手順】
  1. 梅の表皮を傷つけないように注意しながらよく水洗いします。
  2. へたを竹串などで注意深く取り除きます。
  3. たっぷりの水に一晩つけて、灰汁(あく)抜きします。
  4. 水から上げて、清潔なふきんなどで1個1個丹念に水分をふき取ります。水分が残っているとかびる原因になります。
  5. 下漬けをします。最初に容器の下に塩を薄く引き、梅と塩を交互の層になるように順に入れていきます。塩は上に行くほど多くなるようにします。塩の加減は、梅を入れきったところで塩が1/3ぐらい残るぐらいが目安です。最後にに残りの塩1/3を敷き詰めます。
  6. 落しぶたをして、上から重石をします。重石の重さは梅の2倍ぐらいが目安です。虫が入らないように上からラップなどをして、風通しの良いとろに置いておきます。毎日1回は容器をゆすって塩がよく溶けるようにします。
  7. 3~5日したら落しぶたの上に液体が浮かんできます(白梅酢)。このとき、重石を半分ぐらい(梅の重さと同じぐらい)のものに取り替えます。塩分が十分でないか、重石の重さが足らない場合には白梅酢が浮かんでこないことがありますので注意してください。
  8. 白梅酢が十分出てきたら、梅が1~2cmぐらいつかるだけ残して保存しておきます。赤じその出る7月上旬ころまでこのまま冷暗所に置いておきます。
  9. 赤じそを購入したら葉だけをしごいて取ります。たっぷりの水で洗い、水切りしてふきんなどで水分をよく取ります。
  10. 赤じその葉の20%程度の塩を用意し、ボウルに赤じそを入れて、用意した塩の半量を振ってしっかりもみます。きつくしぼってでてきた灰汁(あく)を捨てます。この灰汁取りを2回行います。
  11. 赤じそをボウルに入れ、梅から出た白梅酢を赤じそに振りかけてよくもみほぐします。赤じそが鮮やかな紅色に発色します(赤梅酢)。
  12. 梅の容器に赤じそを赤梅酢と一緒に入れて、軽く容器をゆすります。梅全体が色づいたら落としぶたをし、梅の半分ぐらいの重石をします。
  13. ときどきかびが浮かんでいないかこまめにチェックしてください。梅やしそが液面から出ているとかびやすいので、保存しておいた白梅酢を加えてください。もしもかびが浮かんできたら、かびの部分だけを静かに取り除き、白梅酢か焼酎を少し足しておきます。
  14. 梅雨が明けた7月20日ころの晴天が4日続く日を選んで、土用干しを行います。
  • 1日目
    午前の涼しいうちに、ざるに梅を並べて、日なたに干します。日中に一度梅を裏返してください。赤梅酢もごみが入らないようにラップをあてて、この日だけ容器ごと日光にあてておきます。夕方に梅を容器に戻してください。
  • 2日目
    梅を再びざるに並べて干します。日中に一度梅を裏返し、続けて夜干しします。赤梅酢はビンに移して保存してください。漬物などに利用できます。
  • 3日目
    日中に一度梅を裏返し、そのまま続けて夜干しします。
  • 4日目
    朝日の上がらないうちに取り込み、熱湯消毒をした保存容器に入れます。赤じそは、赤梅酢を吸わせてから十分にしぼって梅の上にのせます。最後に赤梅酢は注ぎ入れる方法と入れない方法とがあります。好みでどちらでも良いでしょう。できあがった梅干しは冷暗所で保存してください。

梅(うめ)の保存法

梅は、梅干しや梅酒などに加工保存するのが普通で、そのまま冷蔵や冷凍保存することはありません。買ってきたものはすぐに加工するようにします。

梅干しは風通しのよい冷暗所に置いておくと、通常1年以上保存できます。塩分の多いものの方がより長く保存できます。

売られている梅干しは、プラスチックやビニールの容器に入れられているものが多く、そのままでは乾燥してしまうので、ビンや密閉できる容器に移し替えた方が良いでしょう。

塩以外の調味料を使用した梅干しもいろいろな味のものが売られていますが、塩だけの梅干しに比べて日保ちは悪くなるので、冷蔵庫で保存して賞味期限以内に食べきるようにしましょう。

最近の梅干しは減塩志向で塩分が少なくなってきていて、保存性が落ちてきているので、早めに食べきるようにしましょう。

梅(うめ)の栄養・効能

「うめは三毒(食べ物の毒・水の毒・血の毒のこと)を絶つ」「朝夕1個食べれば、医者いらず」などと言われるように、古くからその効能が認められていました。

生の梅は90%が水分で、糖質と少量のタンパク質などが主成分です。

梅の特徴である酸味の成分は、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、酒石酸、ピクリン酸などです。このうち最も多く含まれているクエン酸には、体内でのエネルギー代謝を活発にし、疲労物質の分解を促進するはたらきなどがあります。
上記の有機酸のほかに、カリウム、カルシウム、リン、鉄などのミネラル類や、カロチン、ビタミンB1、B2、C、Eなどのビタミン類が多様に含まれています。

疲労回復に

クエン酸は糖質や脂肪酸の代謝を促し、疲労によってたまった乳酸を燃焼させてエネルギーに変えるはたらきがあります。この流れはクエン酸回路(TCAサイクル)といいますが、このサイクルが活発になることで、体内で大きなエネルギーが生み出されるとともに、疲労からの回復がスムーズになります。

食中毒予防に

梅のpHは酸っぱい梅干しで2.0、梅肉エキスでは1.4です(数値が低いほど酸性が強い)。これは食中毒を起こす菌の中で最も酸に強いと言われるO-157菌が耐えうる限度のpH2.5を超えています。梅は、食中毒を起こす菌のみならず、赤痢菌、結結核菌、腸チフス菌、ブドウ球菌などの成長を完全に阻止します。弁当に梅干しを入れておくとご飯が傷みにくいというのはこの殺菌力のためです。

食欲増進に

梅の酸味は、唾液(だえき)や胃液などの消化液の分泌を活発にします。消化液が活発に出れば、消化吸収をスムーズにし、食欲がでてきます。胃の調子の悪くて食欲が無いときには特に有効です。

整腸効果

梅には、食物繊維が比較的豊富に含まれているので整腸作用が期待できて便通が良くなります。

老化予防

梅干しは口にしたらもちろん、見ただけで唾液(だえき)の分泌がさかんになりますね。唾液の中には、活性酸素のはたらきを抑制する成分が含まれ、体内細胞の老化防止に効果があります。

骨を強化

クエン酸はカルシウムや鉄と結合して、これらのミネラル分を体内にスムーズに吸収させるはたらきがあります。結果として、骨の強化や血行をよくする効果が期待できます。

青梅の毒

「梅を食うとも種食うな中に天神寝て御座る」ということわざがあります。青梅の核にはアミグダリンという物質があり、これが酵素で分解されると有毒な青酸を生成するのです。未熟な梅は核が砕けやすいので、生で食べると中毒を起こすおそれがあります。青梅は酸味が強いので生食することはないと思われますが注意してください。アミグダリンは熟すにつれて蒸散するため、完熟した実では問題ありません。

梅(うめ)の民間療法

烏梅(うばい)

青梅を燻煙(くんえん)して干したものを漢方で烏梅といいます。極めて酸味が強いものですが、風邪に伴う発熱や下痢、解熱、食物や薬物中毒、虫下しなどに効果がある民間薬として昔から用いられてきました

頭痛のとき

うめぼしの果肉をちぎってこめかみにはると効果があります。

乗り物酔いのときに

梅干し1個をまるごと口に含むと不快感が和らぎます。

風邪、発熱のときに

風邪の初期症状には、梅干し1個と少量のおろしにんにくや刻んだねぎを熱湯に入れて飲むと効きます。
また、熱や咳には梅干しの黒焼きを熱湯に入れて飲むと効果があります。黒焼きは、梅干しをアルミホイルにくるんで、真っ黒になるまで弱火にかけて作ります。

湿布にして

リュウマチ、肩こり、神経痛には、梅干しの果肉をすりつぶしてガーゼに塗り、湿布のように患部に貼ると、血行がよくなり痛みがやわらぎます。

下痢、腹痛に

食あたりや風邪、二日酔いなどでおなかの調子が悪いとき、梅干しに番茶を注いだものを飲むと症状が緩和されます。また白梅酢を大人ならさかずき2杯、子どもは1杯飲んだだけでも効き目があります。

吐き気があるとき

吐きけがするときは、うめぼしを煎じて飲むとむかつきがとれます。白梅酢をさかずき1~2杯飲んでもよいでしょう。

肌あれに

うめぼし2~3個をコップ1杯の日本酒に1週間ほどつけこみます。入浴後、荒れた肌にこの液をマッサージしながらすりこむと肌がスベスベしてきます。特にガサガサに角質化してしまった肌を改善するのに効果的です。

梅肉エキス

梅の薬効は梅エキスにすると効果満点です。お腹の調子が悪いときや風邪気味のとき、二日酔いのときなどに、少しなめるか、お湯に溶いて飲みましょう。

【梅肉エキスの作り方】
  1. 青梅をきれいに洗って水気をきります。
  2. 果肉部分をすりおろします。種は使用しませんので捨てます。
  3. 木綿の布で強くしぼります。
  4. しぼり汁を土鍋に入れて弱火にかけます。木じゃくしでかき混ぜながら、水分が蒸発し、色が黒くとろみがつくまでじっくり長時間煮つめます。あくが出たらていねいにすくってください。
  5. できあがったエキスは密閉できる清潔なびんに入れ、常温で保存してください。

梅(うめ)の歴史・由来

原産地は中国の四川省や湖北省あたりだとする説が有力です。
中国では、紀元前の昔から青梅を薬として利用していたようです。また6世紀に北魏で記された最古の農業書「斉民要術(せいみんようじゅつ」では、梅の栽培方法や梅干・梅酢の作り方などの加工方法が記されています。

日本に梅が伝わったのは奈良時代以前で、そのころ往来した遣唐使によって伝えられたと考えられています。そのころは貴族などの高貴な人々に生菓子として食べられていたようです。

梅の名前が記録に残っているのは751年の「懐風藻(かいふうそう)」が最初で、「万葉集」には桜の42首に比べて122首も詠われているなど、古くから親しまれてきました。

梅干しが登場するのは平安時代のことです。戦国時代には兵糧にも加えられ、また戦場を駆けめぐる将兵たちの貴重な薬にもなりました。

果樹として広く栽培されるようになってきたのは江戸時代からのことで、品種も著しく増え、全国各地で栽培されるようになりました。それまでは主に高貴な人々の薬として用いられてきたのが、庶民にも食べられるようになりました。

梅(うめ)の豆知識

梅の語源

中国で梅のことを「メイ/mei」といいますが、「ゥメイ」と聞こえるので「ウメ」になったという説が有力です。そのほか、熟実(うむみ)から転化したとか、薬用の烏梅(うばい)から由来したとかの諸説があります。「万葉集」では「うめ」と表記されていましたが、その後、「牟女(むめ)」とか「宇女(うめ)」とかの表記も見られます。

400年前の梅干し

現存する最古の梅干しは、何と室町時代に漬けられた梅干しで、乾燥してはいるものの腐らずに今なお食べることができるそうです。昔の梅は保存食として作られていたため、塩分は20%以上で、保存状態が良ければ賞味期限というものはありませんでした。

梅干しとうなぎの食べ合わせ

昔から食べ合わせが悪いと言われていますが、医学的な根拠はありません。うなぎも梅干しも食がすすむ食材であることから食べ過ぎを防ぐ意味で言われたとか、梅干しが脂っこい食べ物をさっぱりとさせる性質があるのでうなぎの栄養分が消されてしまうと考えられて言われ始めた、という説などがあります。

梅雨(つゆ)と梅の関係は?

梅の花の盛りは初春だというのに、梅雨はどうして梅の雨と書くのかご存知ですか?じつは梅雨の梅は花でなくて実の方を指していて、梅の実はまさに梅雨の季節が収穫時なのです。中国では梅の実が熟す頃に降る雨の事を「梅雨」と呼んでいて、それが江戸時代に日本へ伝わり、日本でもそのように呼ばれるようになったそうです。梅雨の雨は梅にとっては恵みの雨になります。この季節にたくさんの雨が降ることで梅の実は大きく膨らんでいくのです。