秋葵 – オクラ – okra

オクラの特徴

オクラはアオイ科の高さ1~2mになる熱帯性植物で、朝早くハイビスカスに似たクリーム色の花を咲かせます。花は午前中のうちにしぼみますが、その後にできる実を若いうちに摘んだものが、普段私たちの口にするオクラです。

オクラ(okra)とは英語名で、フランス語ではガンボ(gombo)といいます、また女性の指にたとえられて「レディスフィンガー」という美しい名前もついています。

日本では「陸蓮根(おかれんこん)」と呼ばれるほか、切ると若いさやがネバネバして糸を引くことから「青納豆」という呼び名も。

オクラの種類

オクラいろいろ

日本では切り口が五稜形になるものが普通ですが、角のない丸さや形もあります。

色は緑色が一般的ですが、紅色や黄色の種類もあります。

ミニオクラ

通常のオクラよりも早採りしたもので、3cmくらいのものが出まわります。柔らかくてジューシーなので、料亭などで料理の添え物や生のままサラダなどに使われます。

花オクラ

オクラの花はオクラと同じような粘り気があり、ドレッシングや、醤油などをかけておいしく食べることができます。

オクラの選び方

大きさは?

長さは5~8cmぐらい、開花後5~6日くらいのものがおいしいです。あまり大きすぎると固くなっているのでさけましょう。

見た目で選ぶには

さやの色が鮮やかな濃い緑色で、産毛が密集し、みずみずしくて角のはっきりしたものを選ぶと良いでしょう。

切り口や、先端が茶色いものは日が経ったものなので避けます。

オクラの調理法

うぶ毛を取り除く

表面のうぶ毛は食感に良くないので取り除いてから調理します。水洗いしてから塩をまぶしてこすり合わせるようにすると簡単に取れ、緑色もさえます。

刻む

へたは苦いので切り落として調理します。

生食の場合はできるだけ細かく刻むとぬめりが増します。まずは小口切りにして包丁でトントンとたたくように刻みます。

見た目の美しさを楽しむためには、輪切りにするとよいでしょう。へたのほうから厚みが均一になるようにして、オクラに直角に包丁をおろすように切っていきます。

炒めるときは、小さく切るとねばりが出て炒めにくいので、へたを切り落としてから斜め半分に大きめに切るのがコツです。

ゆで過ぎに注意

ゆでて食べるときには、ゆで過ぎるとぬめり成分が逃げていってしまうので、さっと固めにゆでるようにします。シチューやスープなどの煮込み料理に入れるのであれば、成分が煮汁に残るのでそのまま煮こんでOKです。

栄養分を考えると

ビタミンCやB群、ムチン、ペクチンなどの効果を期待するなら、生食かスープ煮にして汁ごと食べましょう。

ビタミンAを効率よく摂取するなら、炒め物や揚げ物など油を使った料理にすると吸収率が増すので良いでしょう。

色々な料理に

和え物や酢の物、天ぷら、網焼き、カレー、サラダ、バター炒めなど、工夫次第で色々な料理に合います。

スープやシチューにとろみをつけるために使用するのも良いでしょう。

下ゆでしたおくらにチーズをかけてオーブンで焼いても手軽でおいしい一品になります。

オクラの保存

乾燥と低温に注意

ネットで売られていることが多いのですが、大変デリケートな野菜なのでそのまま放置するのは厳禁です。

ぬれた新聞紙に包んで乾燥を防ぎ、ラップやポリ袋に包んで野菜室で保存しましょう。4~5日はもちます。

冬場は室温でも十分に保存できます。

冷凍して保存

生でもゆでても冷凍保存が可能で、約1ヶ月はもちます。水気はよく切ること。1本ずつラップで包んで保存しましょう。

使うときは、半解凍で小口切りなどにすると生と同じようなねばりが楽しめます。

オクラの栄養・効能

基本成分は?

タンパク質や糖質が多く、ビタミンC、B1、B2、E、カロチンなどのビタミン類のほか、カルシウム、鉄、マグネシウム、亜鉛、銅などのミネラル分も豊富に含むきわめて栄養価の高い緑黄色野菜です。

独特のねばりの成分は?

ねばりの正体は、糖タンパク質のムチン、食物繊維のペクチンやガラクタンなどです。

夏ばてに

ムチンにはタンパク質の消化吸収をよくするはたらきがあります。タンパク源の肉や魚類、また納豆や豆腐などの良質なタンパク質などと組み合わせて食べると消化吸収率が高まり、夏ばての予防や解消に効果的です。

また、ムチンには、胃の粘膜の状態を整えて胃を保護するはたらきもあります。調子の落ちた夏の胃に最適の食品というわけです。

血糖値が気になる人に

水溶性の食物繊維であるペクチンには、糖の吸収を遅らせるはたらきがあり、血糖値の急上昇を抑制します。そのため糖尿病などの予防に効果がみとめられています。

整腸作用

オクラに含まれる繊維量はごぼうやさつま芋より多く、これらの食物繊維は便秘の予防改善のほか、下痢にも効果があります。

オクラの歴史

アフリカ北東部やエチオピア周辺が原産で,2000年以上も前にはエジプトで栽培されていたというほど、歴史の古い野菜です。

8世紀にアフリカからスペインへ伝えられ、18世紀にはアメリカ南部で栽培が始まりました。

日本へは19世紀中ごろ、幕末から明治の初めにアメリカから伝わったとされていますが、当時は青臭さとヌルヌルした食感が不人気であまり食べられませんでした。

日本で野菜として本格的に栽培されるようになったのは昭和40年代以降のことです。夏のハウスを活用して作られるようになり、栄養面でも注目されて普及しました。

オクラの豆知識

名前の小ネタ3つ

オクラが最初に幕末の日本へ伝えられたとき、アメリカから伝えられたという理由で「アメリカネリ」と名付けられました。「ネリ」とは同じアオイ科のトロロアオイのことです。根の粘液を和紙の紙すき用の糊として利用することから「ネリ」という名があるそうです。

しばらくして付けられた「陸蓮根(おかれんこん)」という名は、見た目の通り輪切りにした形と味がレンコンに似ているためです。

現在では英名の「オクラ」と呼ぶのが一般的ですが、これは戦後の食糧難の時代にアメリカ軍主導のもとで栽培が拡大されたためだそうです。

オクラのコーヒー

昔イギリスやフランスで、オクラの種を完熟させたものがコーヒー豆に似ているという理由でコーヒーの代用品とされていたことがあったそうです。日本でも昭和19年、コーヒーが輸入停止となったときにオクラの種の粉末をコーヒー代わりにしていたとか。けれども味は本物にほど遠かったので、自然にそういう利用はされなくなりました。

ガンボ

アメリカ南部のニューオリンズを中心に発展したケージャン料理の代表的な料理で、カレーに似たスパイシーなスープです。オクラや玉ねぎ、セロリ、ピーマンなどの野菜と、鶏肉や魚、タバスコやサッサフラスなどのスパイスを加えてぐつぐつ煮て作ります。

ガンボという名は、フランスやアメリカでオクラのことを「ガンボ」と呼ぶのでそのまま料理名についたという説の他に、サッサフラスのことをアメリカ先住民がkomboと呼んでいたため、という説もあります。

由来はどうであれ、元気が出る一品なので一度挑戦してみてはいかが?